かおりの食慾

Twitterで書ききれないことや、日記のようなものもこちらに。明日が今日よりも素敵な日になるように。

不思議な夢

何度も何度も同じ夢を見ていた時期があります。

 

私は、幼稚園に入るまでⅩ県のY市Z区に住んでいました。5歳の誕生日を迎える前に、実家のあるX県Y市Ω区に引っ越し、そこで20年暮らしていました。

今はお隣とはいえX県からも離れています。

私が小学生の頃からずっと見ていた夢があるのです。それは・・・

 

顔も解らない女の子と、小さな公園で遊んでいる子供の私がいます。子供の私は「もう晩ご飯だから帰るね」と言い、公園を出て左に向かい、階段が見えてきたので、その階段を上がって、坂道を下って、真っ直ぐ歩いて、私の家が見えて、ただいま。と声をかける。

毎回ここで目が覚めるんです。 

 

こんな、どこにでも転がっていそうな夢なのですが、このシーンだけを10年以上見ているんです。

覚えていないだけかもしれませんが、毎日見るわけではないし、なにかの出来事と関連して見るわけでもないのです。

 

しかも、その公園のことを母に聞いても、母は私をそんな公園に連れていった記憶がないそうなのです。

夢の中で見た公園から家への帰路は、何段もある段差の高そうな階段があったのですが、母はそんな階段を一緒に歩いたことも、私一人で歩かせたこともないし、そもそも引っ越す前の家の周りは、4歳の子供が一人で遊びに行ける距離に子供が遊べるような公園はないはずだと言うのです。

確かに、あの頃住んでいた町は、車が多くて坂道や側溝が多く、聞けば小学校に上がるまで一人で遊ばせるのは不安だと思うご家庭が多かったようなのです。

 

でも、夢の中では同い年くらいの女の子と遊んでいるのになぁ・・・

気になって気になって仕方なくなり、前のブラック企業を退職し、約1ヶ月のフリーター時代に、思い切って生まれた町をひたすら歩いてみたんです。

私の子供の頃にはなかったスマホがあったので、近隣の地図をグーグルアースで公園をひたすらピックアップして、ここかな、と思う公園を目指して歩いてみたんです。

 

地形の問題なのか、似たような階段や坂道が多くて、本当に実在する公園なのかと思い始めた頃・・・ある一つの公園に辿り着きました。

目の前にある砂場、古ぼけたブランコやシーソーに滑り台のある遊具。そして、公園を出て左に向かったときの階段、坂道・・・

だんだん頭のなかの・・・朧気な記憶の中の、形が定まっていなかったパズルのピースがしっかりとした形になって、記憶の抜け落ちていた部分にピタリと当てはまったかのような感覚でした。

あ!この公園!と思った瞬間、涙がボロボロ流れてきました。なんの感情かわからないのに、なぜか涙が止まらないんです。

 

そのあとも、公園を出て左に行けば階段、坂道、そして私の生まれた家に辿り着きました。

帰ると、撮ってきた公園の写真を母に見せました。

この公園、本当に私は行ったことないの?と。

何枚も撮った写真を見た母は、しばらく考えたあと言いました。

「あんたが生まれて6ヶ月くらいのときに、1回だけ散歩で行ったことはあるよ。6ヶ月だから歩けないし、私が抱っこしてたけど・・・」と。

 

ろっかげつ・・・6ヶ月????

生後半年の頃の、しかも自分で遊んだわけではない公園の記憶があったのでしょうか。

私が好きな妖怪になぞらえて例えるなら・・・生後半年の私は、母に抱かれながら公園を見ていて、遊びたいと思っていたけれど、その時はまだ歩けなくて・・・でも一人で歩けるようになっても、あの公園の事を母に話すには幼すぎて、行けず仕舞いのまま引っ越してしまい、公園のことを思い出すこともなくなった。

それを憂いた「公園」が、夢を通じて私に思い出させた・・・

と言ったところでしょうか。

その証拠(?)に、公園に自力で辿り着いてからは、一度もあの夢を見ません。

そして、まだあの公園は、あの町の子供たちの遊びの場です。

また、休みの日には散歩がてら行ってみたいものです。そして、いつか私が母親になれたときには連れていってあげたいです。